Greeting理事長挨拶

国際情勢の悪化とこれに伴うエネルギーと食糧問題、加えて山火事等の大きな災害も報告されています。国内でも局地的豪雨の発生や群発する地震、更には猛暑と電力不足も懸念されています。一方では、感染症の脅威も続いており世界経済の成長にも影響を与えています。
かかる状況の中でも、2050年のカーボンニュートラルに向けた動きは地球規模で加速しています。日本でも石炭火力発電から脱却して再生可能エネルギーを拡大するための技術開発及び政策目標が、矢継ぎ早に産官学から発表されています。
こうした動きの中、太陽光発電はその重要性を増しており、ペロブスカイトや、これとシリコンとのハイブリッドといった革新的なセル構造も実用化されようとしています。
PVTECは、かつてはセル構造技術開発を活動の中心としていましたが、現在は太陽光発電の利用拡大のための周辺技術開発と新しい適用アイテムの検討に活動の軸足を移しています。PVが主力電源の一翼を担うには 重要な技術開発テーマであり、これにより太陽光発電の拡大に寄与し、地球環境とカーボンニュートラルに貢献致します 。
[PVTECの事業]
現在の主力事業は、2020年度に始まったNEDOの「太陽光発電主力電源化推進技術開発」における特別事業3件ならびに今年2年目を迎える経済産業省委託のBIPVモジュール・システムの国際標準化事業です。NEDO事業3件は、新市場開拓に関する2件(壁面設置PV と移動体PV )と、太陽光発電の長期安定電源化に関する1件です。「壁面設置太陽光発電システム市場拡大のための共通基盤技術の開発とガイドライン策定」は、建物壁面にPVパネルを設置するメリットを定量化、可視化し、ユーザの理解と社会受容性を高めることを目指しています。環境性能評価技術や発電量評価技術の開発などに取り組み、ガイドライン化によってユーザの理解を促進し、設置拡大に貢献します。「移動体用太陽電池の動向調査」は、動向調査の枠組で、移動体PVの普及に向けたコミュニティ拡大、レジリエンスなどのメリット評価、信頼性評価技術開発などに取り組んでいます。
最後の長期安定電源化「高安全PVモジュール、高安全PVシステムの技術基準案の策定」では、太陽電池モジュールの火災安全に必要とされる設計基準案策定と評価手法開発とともに、高安全PVシステムに必要とされる点検、診断技術の技術基準案の策定などに取り組んでいます。
経済産業省委託の「建築一体型太陽光発電に関する国際標準化」は、前事業を引き継いで2021年度より新たに3年間事業として実施しています。
PVTECのもうひとつの主力事業が、「技術交流の強化」を主目的とした各種研究会です。コロナ禍でオンライン研究会(ウェビナー)としての実施を余儀なくされましたが、PVTECビジョン構築、コミュニティ拡大などを目指し、2020年7月の第1回ビジョン研究会を皮切りに、新市場開拓を推進する移動体PV研究会、グリーンイノベーション戦略に対応したタンデムPV研究会を行っています。毎回、100名を超える方々にご参加いただいており、他分野の参加者も徐々に増えてきました。PVTECの強みである「幅広いコミュニティ」をさらに拡大してまいります。
上述した現在の主力事業は、2018年度に検討を開始した「変革」の一環ですが、PVTECの歴史も変革の歴史です。セル、モジュール開発からパワエレBOS開発へのシフト、高性能化低コスト化技術開発から新市場開拓やガイドライン策定などの市場拡大策へのシフトなどに取り組んでまいりました。もうひとつの変革は異分野融合の推進です。現在のPVTECの主力事業である建材一体型太陽電池BIPVは、PV業界と建築業界の融合の成果です。このほかにも、移動体業界やデジタル電力分野、データ活用分野との融合を進めるなど、異分野融合がPVTECの強みとなっています。
[PVTECの将来]
カーボンニュートラル宣言は、PV業界に大きな変革を迫っていますが、PVTECではその強みを活かしてより高い目標に挑むとともに新たな分野への拡大を図ってまいります。PVTECの現行事業ではより高いレベルをより早く実現しなければならず、PVTECの強みである異分野融合を武器とする変革を進め、この課題に取り組んでいきたいと考えています。
加えて、政府のグリーンイノベーション戦略では、再エネを含む重点14分野を掲げていますが、ほとんどの重点分野が再エネを前提としています。例えば2番目の水素、アンモニアは再エネ由来のいわゆるグリーン水素が不可欠ですし、5番目の自動車、蓄電池は再エネ電力無しには実現できません。 PVと異分野との融合というレベルを超え、異分野に入り込む覚悟で臨むことも視野に入れています。
PVTECはこれからもカーボンニュートラルの実現に向け、組合員企業の皆さまならびに関係の皆さまのご支援を得て、改革を進めてまいります。引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。
20022年7月
太陽光発電技術研究組合(PVTEC) 理事長 永野 広作
Overview組合概要
組合名(英文名) | 太陽光発電技術研究組合(略称:PVTEC) Photovoltaic Power Generation Technology Research Association |
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所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-13-3 虎ノ門東洋共同ビル |
設立日 | 平成2年11月14日(設立総会) 平成2年12月20日(設立認可) |
設立の目的 | 組合員各社の研究開発能力を結集し、さらに大学等、産官学の協力のもとで、太陽光発電に関する研究開発を共同で実施し、日本の太陽光発電産業の発展に貢献する。 |
研究開発方針 | 本研究組合を通して、国際競争力のある強力な研究開発体制を構築し、研究開発を行う。太陽光発電システムの高性能・高信頼性化技術や健全性維持、新規市場開拓、標準化等の推進に関する共通課題を効率的かつ迅速に解決することにより、日本の太陽光発電関連産業の発展に貢献する。第6次エネルギー基本計画に沿って再エネの主力電源化を推進し、2030年のエネルギーミックスを前倒しできるよう事業化を進める。 |
役職員 | 理事長 専務理事 常務理事 |
組合員名(五十音順) | 現組合員(2022年7月1日現在、23社・機関)
設立時組合員(23社・機関)
(*印中途脱退組合員) |
研究開発の内容 | 太陽光発電産業の健全な市場発展に寄与するために、①建築一体型太陽光発電に関する国際標準化、②壁面設置太陽光発電システム技術開発(壁面設置太陽光発電システム市場拡大のための共通基盤技術の開発とガイドライン策定)、③高安全PVモジュール、高安全PVシステムの技術基準案の策定 、④移動体用太陽電池の動向調査を委託事業として進める。また自主事業として・技術ビジョン研究会/PVへのAI・機械学習応用研究会/PVと金融研究会/タンデムPV研究会/再エネ電力のデジタル取引研究会の5つの研究会にて研究を進める。 |
特別事業 |
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自主事業 |
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研究体制 | 理事会、運営委員会のもとで「戦略企画部会」と「技術交流部会」を中心に企画立案、情報交流を行い、委託研究・共同研究を順次スタートさせている。
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