Greeting理事長挨拶

コロナ禍により、世界の人々の生命と生活が脅かされています。また、経済活動へも甚大な影響を及ぼしています。被害を受けられた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。また対策・対応にご尽力されておられる皆様には、心より御礼申し上げます。
一方では、ウィズコロナ・アフターコロナの産業動向として、情報産業とメディカル産業と共にエネルギー産業が注目されています。こうした社会情勢の中、先頃、FIT法改正を含むエネルギー供給強靭化法が成立しました。2012年度に施行されたFITにより日本の太陽光発電は大きく発展しましたが、今、新たな発展に向けたターニングポイントを迎えることになります。2022年4月の施行(一部は前倒し施行)に向けて太陽光発電の主力電源化に向けた、PVの経済性改善、ビジネスモデル転換など、取り組みの強化が求められています。
これを受けてPVTECの活動についても、昨年までの戦略企画部会などでの議論をベースに、新しい変革に取り組みます。
今年度は主に二つのアイテムに注力します。一つは、経産省とNEDOの指導のもと、新たなステージに入った太陽光発電普及のための新たな技術開発テーマの実施です。二つ目は、新たな技術交流の強化であります。
PVが主力電源の一翼を担うためには、他の再生エネルギー関連事業者との交流や、太陽光発電事業に関わる様々な分野の研究技術者との情報交流の場をWeb等の利用も含め、提供したいと考えています。
具体的な活動計画について述べます。
- 新規事業テーマについては、NEDOの「太陽光発電主力電源化推進技術開発」における特別事業3件がスタートしました。内2件は新市場に関するもので、「太陽光発電の新市場創造技術開発」として応募した壁面設置PVと、「動向調査」として応募した移動体PVです。これに加えて「太陽光発電の長期安定電源化技術開発」の1件を実施します。この3件は、2018年から戦略企画部会に分科会を設けて検討してきたものです。2019年度はうち2件を単年度のNEDO委託事業として実施しましたが、2020年度にいよいよ本格展開することになります。
壁面設置PV開発「壁面設置太陽光発電システム市場拡大のための共通基盤技術の開発とガイドライン策定」は、建物壁面にPVパネルを設置するメリットを定量化、可視化し、ユーザの理解と社会受容性を高めることを目指します。環境性能評価技術や発電量評価技術の開発などに取り組み、ガイドライン化によってユーザの理解を促進し、設置拡大に貢献します。
移動体PV開発「移動体用太陽電池の動向調査」は、動向調査の枠組で、移動体PVの普及に向けたコミュニティ拡大、レジリエンスなどのメリット評価、信頼性評価技術開発などに取り組んでいます。
最後の長期安定電源化「高安全PVモジュール、高安全PVシステムの技術基準案の策定」では、太陽電池モジュールの火災安全に必要とされる設計基準と評価手法を開発するとともに、高安全PVシステムに必要とされる点検、診断技術の技術基準案の策定などに取り組んでいます。
なお、特別事業としてはこの新規3事業の他、経済産業省委託のBIPVモジュール・システムの国際標準化事業を継続実施しています。 - PVTECの変革を目指す「技術交流の強化」については、昨年度の戦略企画部会での討議を踏まえて計画します。同部会では「PVTECの変革~技術交流の強化~」を柱に、PVTECビジョン構築、コミュニティ拡大などに取り組むべきとの結論に至りました。具体的にはビジョン研究会などの6種類の研究会を新たに設置し、推進しています。
5月の技術交流会をその第1弾と位置付けて準備を進めていましたが、コロナ禍で延期を余儀なくされたため、オンライン研究会としてスタートを切りました(7月9日に第1回ビジョン研究会開催)。オンライン研究会でどれだけ有効な議論ができるか、課題は多いですが、組合員の皆さまのご支援を得て、実りある議論ができるよう工夫しながら進めてまいります。
PVTECは1990年の発足から今年で30周年を迎えます。当初は、高性能低コストの太陽電池セル、モジュールの開発を中心に進め、今日の太陽光発電社会の礎を築いてまいりました。その後、社会ニーズの変化に対応し、太陽電池デバイスからパワコンなどのBOSを含むシステム技術や高安全技術開発などにシフトするなど、変革を進めてまいりました。しかし、主力電源化という大きな目標に対しては、さらなる変革が必要です。
30周年にあたる今年度、組合員の皆さまとともに「技術交流強化」のもと、オープンマインドな議論を重ねながら、主力電源化の期待に応え、再生エネルギーの拡大に貢献できる新しい時代の太陽光発電事業の推進に貢献致したく存じます。
組合員の皆さま方ならびに関係各位のご協力を賜りますよう、切にお願いして挨拶とさせていただきます。
2020年6月 理事長 永野 広作
Overview組合概要
組合名(英文名) | 太陽光発電技術研究組合(略称:PVTEC) Photovoltaic Power Generation Technology Research Association |
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所在地 | 〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-13-3 虎ノ門東洋共同ビル |
設立日 | 平成2年11月14日(設立総会) 平成2年12月20日(設立認可) |
設立の目的 | 組合員各社の研究開発能力を結集し、さらに大学等、産官学の協力のもとで、太陽光発電に関する研究開発を共同で実施し、日本の太陽光発電産業の発展に貢献する。 |
研究開発方針 | 本研究組合を通して、国際競争力のある強力な研究開発体制を構築し、研究開発を行う。太陽光発電システムの高性能・高信頼性化技術や健全性維持、新規市場開拓、標準化等の推進に関する共通課題を効率的かつ迅速に解決することにより、日本の太陽光発電関連産業の発展に貢献する。FIT法の改正も含むエネルギー供給強靭化法に沿って再エネの主力電源化を推進し、2030年のエネルギーミックスを前倒しできるよう事業化を進める。 |
役職員 | 理事長 常務理事 専務理事 常務理事 |
組合員名(五十音順) | 現組合員(2020年11月1日現在、24社・機関)
設立時組合員(23社・機関)
(*印中途脱退組合員) |
研究開発の内容 | 太陽光発電産業の健全な市場発展に寄与するために、①建材一体型太陽光発電(BIPV)モジュール・システムに関する国際標準化、②壁面設置太陽光発電システム技術開発・壁面設置基盤技術開発、③高安全PVモジュール、高安全PVシステムの技術基準案の策定 、④移動体用太陽電池の動向調査を委託事業として進める。また自主事業として・技術ビジョン研究会/PVへのAI・機械学習応用研究会/PVと金融研究会/新型セル・モジュール初期市場研究会/再エネ電力のデジタル取引研究会の5つの研究会にて研究を進める。 |
特別事業 |
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自主事業 |
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研究体制 | 理事会、運営委員会のもとで「戦略企画部会」と「技術交流部会」を中心に企画立案、情報交流を行い、共同研究を順次スタートさせている。
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